行って来ました、ブライダルフェアに。
まずは県内で一番便利がいい駅の近くにある結構大きなホテル。
私と婚約者と2人で・・・。
2人とも無茶苦茶「ラフ」としか言いようのない格好で。
彼は色のはげたジーパンと同じく色のはげたポロシャツ。
私は色のはげたジーパン生地のロングスカートとタンクトップの上にカッターシャツを羽織った格好。
しかも2人とも足元はサンダル。

受付が2階とのことでエレベーターを終りると、中年の案内おじさんが登場。
「今日はブライダルフェアでお越しですか?」
「そうですけど・・・。」
「じゃあこちらへ」
と案内されたのが受付。
「これに御記載をお願いします」
彼は字を書くのが嫌いなので、紙を渡されるととっとと私に振ってくる。
しかたないので私が記載。
あえて職業欄は空白のままにしておいた。

「もう一緒にお住まいなんですね」
「そうです」
「どのような感じでご希望ですか?」
「写真だけを希望なんですけど・・・。式とか披露宴はする気がないです」
そう言った途端、おいちゃんの目が私たちの服装に注がれた。
・・・あっ、明らかに貧乏カップルって思ってる!!
職業欄書かなかったしなあ・・・。
きっと年を食ったフリーター同士って思ってるんだ。
多分じゃなくて、ほぼ確信に満ちた空気が流れた・・・。

「今日はどのようなご用件で?」
「(だーかーらー)写真婚希望なんで、ドレスとかを見に」
「式はされないんですね」
「しません」
「ご両親様とかご親戚様とかは?」
「好きにしたらって言ってました。実家も遠いし」
やっぱり視線に哀れみを感じる。
結婚を反対されたカップルと見てるな。多分。
両方とも職なしで貧乏なのにって反対されて、それでも結婚するんなら勝手にせえって親父に怒られ、金がないので写真だけを取りに来たってシナリオかな?そんな感じだろうな。

「当ホテルでも写真婚プランはありますので。じゃあドレスをご案内しましょう」
おいちゃんに2人テクテクついて行く。

着いた所はかなり広い会場。
披露宴用の食事や写真が飾ってあり、BGMに生演奏つき。
会場の3分の1のスペースが新婦用の試着用スペース。
洋装と和装を半分で区切ってある。

「じゃあこちらへ。○○さ〜ん!。こちらの方ご案内です!」
出てきたのは商売上手を絵に描いたような、これまた中年のおばちゃん。
中年のおじちゃんも笑顔で出てきて名刺をくれる。
私たちの住所を見て「近くにウチのスタジオがありますよ」って御親切に場所まで教えてくれた。
まだここにするって決まってないってば・・・。
なんでこんなにテンポが速いの??

気がつくと中年のおばちゃんに手を引かれ、ついたての裏へ。
2−3人の女性が試着中だった。
「どんなドレスがお好みですか?」
「自分に似合うドレスが分からないので、お任せします」
「こういうのは初めてですか?」
「はい」
「じゃあまずはこれから着てみましょうね」

そう言われて出されたのが胸元に花がいっぱいついた少しクリームがかったドレス。
「その前にっと・・・服を脱いでこれをつけましょう」
恥ずかしいって。
そう思っている隙に、なんかよく分からないものを履かされる。
ドレスの支えになるような、すそをふわっと見せるやつ。名前知らないけど。

「じゃあ少ししゃがんでくれる?」
おいおいっっ!!タメ口かいっっ!!
言われるとおりにかがむと、上からドレスを被せられる。
「じゃあ腕を出して」
結構きつい・・・うっっ。
「背丈が低いから、これを履いて」
低くて悪かったねっっ!!
出されたのが高さ10cmのハイヒール。
転ぶぞ・・・。

「じゃあだんなさんに見せに行きましょうか」
歩こうとするとすそを踏んずけて転びそうになる。
「あっ、すそは蹴るようにして歩いてね」
もっと早く言えよ・・・。

ついたての奥から出て、鏡の前へ。
見ると今まで見たことのない私がいた。
・・・誰だこれ??
「それでこれをつけてっと」
おばちゃんが髪飾りとベールをつけてくれる。
鏡の中には、どこから見ても花嫁さんの私がいた。
メイクは全くしていないけど。
一瞬浮かんだ慣用句。『馬子にも衣装』

しか〜〜し。
彼の感想は・・・
「あんたの好きにしたらええよ」
おいこらっ。感想を聞いとるんじゃっ!!
「う〜〜ん・・・」
黙ってしまった。

「じゃ、次に行きましょうね」
再びおばちゃんに連れられてついたての後ろへ。
そこで再びしゃがんでドレスを上から「引っこ抜く」。
脱いでしまえば単なる「間抜け」な格好でかなり恥ずかしい。
何でもいいから早く着せてよって感じ。

次に着たのは長袖のレース柄のドレス。
これもかなり花がついてて派手傾向。
同じ要領で着せられて、再び鏡の前へ。
彼の感想は・・・
「う〜〜ん・・・」
また感想なしかいっっ!!
「・・・もっとシンプルな方がいいかも。」
やっと感想が出た♪
けどいい感想じゃないじゃん。
ちくしょうめっっ!!

3つ目はかなりシンプル。すそが「メロン柄」。
つまりメロンの網の目の柄。
着替えてついたての前に行ってみる。
確かにシンプルな方がいいかも。
おばちゃんがまた髪飾りとベールをつけてくれるが
なかなかきちんと止まらず、すぐ取れてしまう。
おばちゃんの言い訳
「あんた、優しい髪してるね」
・・・どんな髪やねん!!
彼の前に行き、感想を聞くと
「前よりはええ」
・・・ほめ言葉か?それ???

3着着たところで結構疲れる。
ハイヒールが痛いし、動くたびにすそを蹴り続けるのも疲れた。
というわけで、試着は終了。
着替えていると、例の中年のおばちゃんが言ってきた。
「写真だけ取るの??」
やっぱりタメ語かいっっ!
「だったら、ウチのスタジオで取った方が安く上がるよ」
まさか、こいつもか・・・。
「ウチのスタジオにもドレスあるから、それから選んだらドレス代、メイク代やだんなさんの衣装代、写真2枚も込みで6万円台で済むよ」
やっぱりさっきのおいちゃん同様、このおばちゃんもうちらを「貧乏カップル」と読んでるに違いない!
「・・・彼と相談してみないとなんとも・・・」
そう言ってごまかしておいた。

しか〜し・・・おばちゃんはすごかった。
着替え終わって出てくると、すでに彼のところで話をしている。
どうやらさっきの話を彼にしているよう。
・・・おばちゃんパワー、あなどれず・・・。
商売上手だ・・・。

結局来週、そのスタジオを見学することになってしまった・・・。
                          <つづく>

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